【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その43

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回は「手付金等の保全措置」の演習となります。プロが素人に売るときの様々な規制を学びます。これも素人である買主保護のための規制ですから、この目的を念頭に考えていきましょう。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第77問

2002年 問45

Q:宅地建物取引業者A社は、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、中古マンション(代金2,000万円)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、その際、代金に充当される解約手付金200万円(以下「本件手付金」という。)を受領した。この場合におけるA社の行為に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反するものはどれか。

  1. 引渡前に、A社は、代金に充当される中間金として100万円をBから受領し、その後、本件手付金と当該中間金について法第41条の2に定める保全措置を講じた。

  2. 本件売買契約締結前に、A社は、Bから申込証拠金として10万円を受領した。本件売買契約締結時に、当該申込証拠金を代金の一部とした上で、A社は、法第41条の2に定める保全措置を講じた後、Bから本件手付金を受領した。

  3. A社は、本件手付金の一部について、Bに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。 

  4. 空欄

問題の外観
手付金等の保全措置とはざっくりいうと「手付金を払った買主を保護するため、業者の売り主が何かしらのソソウをしたときにリカバリーする制度」。これが頭に入っていないとさっぱりわからんであろう。制度趣旨をしっかり理解したうえで問題にあたる!これが正道。問題の前文も読みこぼしがないように必ずチェック!! 

選択肢ごとのコメント

肢1 引渡前に、A社は、代金に充当される中間金として100万円をBから受領し、その後、本件手付金と当該中間金について法第41条の2に定める保全措置を講じた。
違反する。中古マンションなんだから完成物件。代金2000万なのだから手付金を200万だけなら、保全措置はいらない。しかし、追加で中間金100万をはらうんだから手付金等保全措置は必要。保全措置は手付金を受け取る前にしなきゃだめだから、「その後・・・保全措置を講じた」とする本肢は違反行為。
 
肢2 本件売買契約締結前に、A社は、Bから申込証拠金として10万円を受領した。本件売買契約締結時に、当該申込証拠金を代金の一部とした上で、A社は、法第41条の2に定める保全措置を講じた後、Bから本件手付金を受領した。
違反しない。「申込証拠金」は代金の一部に充当される場合は手付金に含まれる。本問の場合、手付金等の合計が200万円を超える場合は保全措置が必要なので、「保全措置を講じた後、Bから本件手付金を受領」とする本肢に違反はない。
 
肢3 A社は、本件手付金の一部について、Bに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。 
違反する。手付金を買主に貸し付けて、それで契約させようとするって「インチキっぽくない?」と感じませんか?当然そんなのだめです。手付金の意味がなくなってしまいます。
 
肢4 空欄
空欄
正解・・・①、③
基本事項の確認
〇手付金等の「等」にはどういうものが含まれるか。
〇手付金等保全措置を取らなくともよい場合はどういうときか。未完成・完成物件で分けよ。
〇手付金等保全措置を行うタイミングはいつか。
 
重要事項の暗記に困っている場合は下記の記事を参考にしてみてください。
 

宅建業法の演習 第78問

2014年 問33

Q:宅地建物取引業者Aが、自ら売主として買主との間で建築工事完了前の建物を5,000万円で売買する契約をした場合において、宅地建物取引業法第41条第1項に規定する手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、同法に違反するものはどれか。

  1. Aは、宅地建物取引業者であるBと契約を締結し、保全措置を講じずに、Bから手付金として1,000万円を受領した。

  2. Aは、宅地建物取引業者でないCと契約を締結し、保全措置を講じた上でCから1,000万円の手付金を受領した。

  3. Aは、宅地建物取引業者でないDと契約を締結し、保全措置を講じることなくDから手付金100万円を受領した後、500万円の保全措置を講じた上で中間金500万円を受領した。

  4. Aは、宅地建物取引業者でないEと契約を締結し、Eから手付金100万円と中間金500万円を受領したが、既に当該建物についてAからEへの所有権移転の登記を完了していたため、保全措置を講じなかった。

問題の外観
建築工事完了前」という文言を素早く正確に読み取ることが重要。前文を決してないがしろにしてはいけない。本問の場合、肢3が圧倒的に難しいが、それ以外の肢は基本事項。本番でもこのような問題が出たら消去法で正解を導けるようにしたい。
 

選択肢ごとのコメント

肢1 Aは、宅地建物取引業者であるBと契約を締結し、保全措置を講じずに、Bから手付金として1,000万円を受領した。
違反しない。手付金等保全措置は買主が素人の時の制度だから、買主が宅建業者(プロ)である以上、保護する必要はなし。なので買い手が業者のときは手付金の保全措置なんていらない。
 
肢2 Aは、宅地建物取引業者でないCと契約を締結し、保全措置を講じた上でCから1,000万円の手付金を受領した。
違反しない。代金の20%を超える手付金は受け取れない。本問は5000万円の20%である1000万円をうけとっている。20%を超えてはいない状態で保全措置をしているので法律には違反しない。(「20%を超える」に20%は入らない。「20%以上」に20%は入る。)
 
肢3 Aは、宅地建物取引業者でないDと契約を締結し、保全措置を講じることなくDから手付金100万円を受領した後、500万円の保全措置を講じた上で中間金500万円を受領した。
違反する。本問の場合、「建築工事完了前の建物を5,000万円で売買する契約」なので代金の5%を超える(250万円)時には手付金保全措置が必要。受け取る手付金の総額は100万円+中間金の500万円の計600万円なので、手付金等を受領する前に保全措置するべきは600万円。よって「受領した後、500万円の保全措置を講じた」とする本肢は法律に違反する。日本語を正確に読み取らないと絶対に正解できないね。
 
肢4 Aは、宅地建物取引業者でないEと契約を締結し、Eから手付金100万円と中間金500万円を受領したが、既に当該建物についてAからEへの所有権移転の登記を完了していたため、保全措置を講じなかった。
違反しない。所有権移転登記が完了されていれば、保全措置を講じなくともよい。手付金保全措置は、所有権が移る前に手付金を払った業者がバックレたとき、代わりに銀行とか保険会社とかが払った手付金を買主に返す制度。所有権が移ってるんなら、手付金の保証なんてしなくていいでしょ?
正解・・・③
基本事項の確認
〇手付金等の「等」は何が含まれるか今一度調べましょう。
〇指定保管期間に保全措置の依頼ができるとき・できないときをテキストで調べましょう。
〇テキストには保全措置をしなくともよい場合が書いてあるが、しなくてはならない条件に言い直してみよう。
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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