【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その41

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回から「自ら売主」の演習となります。プロが素人に売るときの様々な規制を学びます。これも素人である消費者保護のための規制ですから、この目的を念頭に考えていきましょう。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第73問

2002年 問45

Q:宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと宅地の売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフについてAがBに告げるときに交付すべき書面の内容に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. Aについては、その商号又は名称及び住所並びに免許証番号、Bについては、その氏名(法人の場合、その商号又は名称)及び住所が記載されていなければならない。

  2. Bは、クーリング・オフについて告げられた日から起算して8日を経過するまでの間は、代金の全部を支払った場合を除き、書面によりクーリング・オフによる契約の解除を行うことができることが記載されていなければならない。

  3. クーリング・オフによる契約の解除は、Bが当該契約の解除を行う旨を記載した書面を発した時にその効力を生ずることが記載されていなければならない。

  4. Bがクーリング・オフによる契約の解除を行った場合、Aは、それに伴う損害賠償又は違約金の支払をBに請求することができないこと、また、売買契約の締結に際し、手付金その他の金銭が支払われているときは、遅滞なくその全額をBに返還することが記載されていなければならない。

問題の外観
クーリングオフができることは業者から「書面」で伝えられるが、その書面に「書かなければいけない内容」は何かっていうのが本問。テキストでは載っていないものもあるようなので、本問で確認しておこう。

選択肢ごとのコメント

肢1 Aについては、その商号又は名称及び住所並びに免許証番号、Bについては、その氏名(法人の場合、その商号又は名称)及び住所が記載されていなければならない。
正しい。どこの誰と誰がクーリングオフの関係にあるのかは書かないとダメよね。本番でこういう肢がでると怪しく見えちゃうよね。
 
肢2 Bは、クーリング・オフについて告げられた日から起算して8日を経過するまでの間は、代金の全部を支払った場合を除き、書面によりクーリング・オフによる契約の解除を行うことができることが記載されていなければならない。
誤り。この肢がズバッと捌けなければ、まだまだ勉強不足。クーリングオフができなくなる条件は「代金の全部を支払い、かつ、物件の引渡しを受けた場合」。この2つの条件を満たしていない場合はクーリングオフできるってことです。
 
肢3 クーリング・オフによる契約の解除は、Bが当該契約の解除を行う旨を記載した書面を発した時にその効力を生ずることが記載されていなければならない。
正しい。民法の一般則では、隔地者の意思表示は、相手方に到達した時点に効力が発生する「到達主義」をとっているが、クーリング・オフについては、「素人である買主を保護する」という宅建業法の要請があるので、書面をポストに入れた時点で効力を発生させる「発信主義」を採用している
 
肢4 Bがクーリング・オフによる契約の解除を行った場合、Aは、それに伴う損害賠償又は違約金の支払をBに請求することができないこと、また、売買契約の締結に際し、手付金その他の金銭が支払われているときは、遅滞なくその全額をBに返還することが記載されていなければならない。
正しい。これはそのまま覚えておきましょう。買主を保護するために記載は義務です。
正解・・・②
基本事項の確認
〇買主がクーリングオフできなくなる場合は買主が何をしたときか。
〇民法の「隔地者の意思表示」の個所をテキストで確認しておきましょう。
〇クーリングオフの記載事項を「業法施行規則16条の6」で一度確認しておきましょう。
 
重要事項の暗記に困っている場合は下記の記事を参考にしてみてください。
 

宅建業法の演習 第74問

2003年 問39

Q:宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. Bは、自ら指定した喫茶店において買受けの申込みをし、契約を締結した。Bが翌日に売買契約の解除を申し出た場合、A社は、既に支払われている手付金及び中間金の全額の返還を拒むことができる。 

  2. Bは、月曜日にホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にクーリング。オフについて書面で告げられ、契約を締結した。Bは、翌週の火曜日までであれば、契約の解除をすることができる。 

  3. Bは、宅地の売買契約締結後に速やかに建物請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカー(A社より当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所において買受けの申込みをし、A社と売買契約を締結した。その際、クーリング・オフについてBは書面で告げられた。その6日後、Bが契約の解除の書面をA社に発送した場合、Bは売買契約を解除することができる。

  4. Bは、10区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けの申込みをし、2日後、A社の事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に契約の解除の書面を送付した場合、A社は代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。 

問題の外観
おそらくほとんどの人が肢2,3で迷うと思う。肢1,4で迷っていたら勉強不足です。肢2は正確に数を数えられるか、肢3は結構細かい知識。この問題を通して「起算日」からの数え方を確認しておこう。
 

選択肢ごとのコメント

肢1 Bは、自ら指定した喫茶店において買受けの申込みをし、契約を締結した。Bが翌日に売買契約の解除を申し出た場合、A社は、既に支払われている手付金及び中間金の全額の返還を拒むことができる。
誤り。「自ら指定した喫茶店」の申込はクーリングオフの対象。よってクーリング後に業者Aは泣き寝入りしないといけないので、手付金及び中間金は返却しないといけない。
 
肢2 Bは、月曜日にホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にクーリングオフについて書面で告げられ、契約を締結した。Bは、翌週の火曜日までであれば、契約の解除をすることができる。 
誤り。「ホテルのロビー」の申込はクーリングオフの対象。クーリングオフは告げられた日から起算して8日過ぎるとできなくなる。月曜日から火・水・木・・・と数えていくと翌週の火曜日は9日目になる。よって火曜日になるとクーリングオフは不可。しっかり指で数えたり、数直線で書いて考えよう。頭の中だけは厳禁!!
 
肢3 Bは、宅地の売買契約締結後に速やかに建物請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカー(A社より当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所において買受けの申込みをし、A社と売買契約を締結した。その際、クーリング・オフについてBは書面で告げられた。その6日後、Bが契約の解除の書面をA社に発送した場合、Bは売買契約を解除することができる。
正しい。Bが指定したハウスメーカーは売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。よってこのハウスメーカー事務所で申し込んだ契約に関してはクーリングオフの対象になる。そのあとも8日ルールをクリアしているのでBはクーリングオフできることになる。この「ほかの業者に代理・媒介を依頼した場合」の論点はテキストでも強調されてない場合が多いので結構細かい論点に入ると思うが、この問題を機に確認しておこう。
 
肢4 Bは、10区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けの申込みをし、2日後、A社の事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に契約の解除の書面を送付した場合、A社は代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。 
誤り。何度も問われている論点。クーリングオフできなくなるのは「代金全額の支払い」と「物件の引き渡し」。物件が引き渡されてないのでBはクーリングオフできるから、Aは解除を拒めない。テント張りの案内所はクーリングオフできますよ!
正解・・・③
基本事項の確認
〇次の場所はクーリングオフできるか。
1、テント張りの案内所 2、モデルルーム 3、買主が自ら申し出たレストラン
〇申し込みした場所が事務所で、契約をしたのが喫茶店の場合、クーリングオフできるか。
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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