【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その39

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回も「37条書面」の演習となります。いうまでもなく宅建士の独占業務であり、必ず出題される分野です。できないと必ず遅れをとることになりますのでしっかり勉強しましょう。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第69問

2011年 問34

Q:宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、「35条書面」とは、同法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面を、「37条書面」とは、同法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面をいうものとする。

  1. 宅地建物取引業者は、抵当権に基づく差押えの登記がされている建物の貸借の媒介をするにあたり、貸主から当該登記について告げられなかった場合でも、35条書面及び37条書面に当該登記について記載しなければならない。

  2. 宅地建物取引業者は、37条書面の作成を宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる。

  3. 宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約が成立した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときには、その内容を37条書面に記載しなければならない。

  4. 37条書面に記名押印する取引主任者は、35条書面に記名押印した宅地建物取引士と必ずしも同じ者である必要はない。

問題の外観
テキスト通りの知識ではかなわない問題かもしれない。過去問では条文通りのことを聞かれることも多くはないので、いろいろな問題を通して一つの論点に対してどんな問われ方をしているのかもしっかり研究する必要がある。

選択肢ごとのコメント

肢1 宅地建物取引業者は、抵当権に基づく差押えの登記がされている建物の貸借の媒介をするにあたり、貸主から当該登記について告げられなかった場合でも、35条書面及び37条書面に当該登記について記載しなければならない。
誤り。抵当権のついた建物を借りた場合、借りてる途中に抵当権が発動されるとその物件から出ていかないといけない場合がある。だから借主には契約をする前に重要事項として35条書面にて説明する必要がある。37条書面では抵当権の有無は賃貸借契約自体には関係ないので記載する必要なし。
 
肢2 宅地建物取引業者は、37条書面の作成を宅地建物取引士でない従業者に行わせることができる。
正しい。宅建士の独占業務を正確に覚えてますでしょうか。書面の作成は宅建士の義務ではないので宅建士以外の者でも作成できる。
 
肢3 宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約が成立した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときには、その内容を37条書面に記載しなければならない。
正しい。いわゆる「危険負担」のはなし。どのテキストにも書いてあるが、危険負担は売買・賃借・交換のいずれの場合も37条の記載事項
 
肢4 37条書面に記名押印する取引主任者は、35条書面に記名押印した宅地建物取引士と必ずしも同じ者である必要はない
正しい。記名押印する者が、宅建士であれば問題なし。同じ宅建士が重説と契約書を両方やらないでなければいけない理由がない。
正解・・・①
基本事項の確認
〇今一度、宅建士の独占業務を確認しよう。
〇抵当権付きの建物に賃貸借契約が交わされたときの論点を民法のテキストで確認してみましょう。
〇宅建士が記名押印しなければいけない書面は何か。媒介契約書は含まれるか。
 
重要事項の暗記に困っている場合は下記の記事を参考にしてみてください。
 

宅建業法の演習 第70問

2019年 問36

Q:宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Aは、その媒介により建築工事完了前の建物の売買契約を成立させ、当該建物を特定するために必要な表示について37条書面で交付する際、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書の交付により行った。

  2. Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。

  3. 土地付建物の売主Aは、買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できるという取決めをしたが、自ら住宅ローンのあっせんをする予定がなかったので、37条書面にその取決めの内容を記載しなかった。

  4. Aがその媒介により契約を成立させた場合において、契約の解除に関する定めがあるときは、当該契約が売買、貸借のいずれに係るものであるかを問わず、37条書面にその内容を記載しなければならない。

問題の外観
肢2,3,4は過去問でも何度も問われている内容なので、絶対に判別できるようにしたい。肢1に関しては知識として知らなくとも、37条書面の意義から類推すれば何とか判断できると思う。

選択肢ごとのコメント

肢1 Aは、その媒介により建築工事完了前の建物の売買契約を成立させ、当該建物を特定するために必要な表示について37条書面で交付する際、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書の交付により行った。
正しい。業法の解釈・運用の考え方によれば、宅地建物を特定するために必要な表示について書面で交付する際、「工事完了前の建物については、重要事項の説明の時に使用した図書を交付することにより行うものとする」とあります。「どこのどんな建物か」を契約書(37条書面)に書かないことには契約のしようがありませんもんね。
 
肢2 Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。
誤り。「自ら貸主」でフィニッシュ。宅建業法の取引に当たらないので、37条書面など交付する必要はない。
 
肢3 土地付建物の売主Aは、買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できるという取決めをしたが、自ら住宅ローンのあっせんをする予定がなかったので、37条書面にその取決めの内容を記載しなかった。
誤り。「住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できる」っていうのは、民法のいわゆる「停止条件付売買契約」ってやつです。契約・取引に関するお互いの決め事なので当然37条書面には書かないといけません。
 
肢4 Aがその媒介により契約を成立させた場合において、契約の解除に関する定めがあるときは、当該契約が売買、貸借のいずれに係るものであるかを問わず、37条書面にその内容を記載しなければならない。
正しい。契約の解除について書かれていない契約書(37条書面)なんてあるわけないでしょ!
正解・・・①、④
基本事項の確認
〇民法の「停止条件」という用語を確認しましょう。
〇宅建業法に書いてある「取引」を何も見ないで言えますか?
〇余力があれば、民法の契約解除のページもおさらいしておきましょう。
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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