【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その22

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回から「保証協会」の演習となります。当然、「営業保証金」と比較されることが非常に多いので常に違いを気を付けて練習することが重要です。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第39問

1996年 問44

Q:宅地建物取引業者A(事務所数1)が、宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入しようとし、又は加入した場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. Aは、保証協会に加入するため弁済業務保証金分担金を納付する場合、国債証券、地方債証券その他一定の有価証券をもってこれに充てることができ、国債証券を充てるときは、その額面金額は60万円である。

  2. Aが保証協会に加入した後、新たに支店を1ヵ所設置した場合、Aは、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金30万円を供託所に供託しなければならない。

  3. Aは、保証協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた場合、その日から2週間以内に、当該還付充当金を納付しなければ社員の地位を失う。

  4. Aが保証協会の社員の地位を失い、弁済業務保証金分担金の返還を受けようとする場合、Aは、一定期間以内に保証協会の認証を受けるため申し出るべき旨の公告をしなければならない。

問題の外観
出題者からしたら、勉強不足の者をあぶりだすために「ややこしいところ」、「混乱するところ」の問題を作るのはごく自然なことである。この保証協会と営業保証金はその最たるもので、制度同士が非常に似通ってくる。他の制度では当てはまらない事項を選択肢に忍ばせてくる問題は日常茶飯事。普段の勉強時から違いを意識してやることが重要である。本問の選択肢はすべてが超基本事項であるので、もれなく押さえなければならない。
 

選択肢ごとのコメント

肢1 Aは、保証協会に加入するため弁済業務保証金分担金を納付する場合、国債証券、地方債証券その他一定の有価証券をもってこれに充てることができ、国債証券を充てるときは、その額面金額は60万円である。
誤り。弁済業務保証金分担金を納付する場合は、現金のみ!!
 
肢2 Aが保証協会に加入した後新たに支店を1ヵ所設置した場合、Aは、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金30万円を供託所に供託しなければならない。
誤り。保証協会に加入しているんだから、弁済業務保証金分担金30万円は保証協会に納付。
 
肢3 Aは、保証協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた場合、その日から2週間以内に、当該還付充当金を納付しなければ社員の地位を失う
正しい。条文のまま。そのまま覚えよう
 
肢4 Aが保証協会の社員の地位を失い、弁済業務保証金分担金の返還を受けようとする場合、Aは、一定期間以内に保証協会の認証を受けるため申し出るべき旨の公告をしなければならない。
誤り。弁済業務保証金分担金の取戻しを行おうとする場合の公告は「保証協会」がおこなう。
正解・・・③
基本事項の確認
〇弁済業務保証金分担金と弁済業務保証金の違いを説明せよ。
〇弁済業務保証金分担金は主たる事務所、その他の事務所でいくらか。
〇還付充当金の納付が行われるまでの手続きを説明せよ。
 
 

宅建業法の演習 第40問

2008年 問44 

Q:宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)又はその社員に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 300万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付して当該保証協会の社員となった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、6,000万円を限度として、当該保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する。

  2. 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。

  3. 保証協会の社員は、保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で、その通知を受けた日から1か月以内にその通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは、当該保証協会の社員の地位を失う。   

  4. 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から2週間以内に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。

問題の外観
肢1のような計算問題が出てきたら、とりあえず問題ごと後回しにしてもいいかもしれない。何しろ時間との戦いなので解ける問題をドンドンさばいていかないと時間不足になり、時間不足になると当然冷静な判断もできない。こういう問題は後でじっくり考えるのも戦略の一つだ。肢1の計算、やっていることは小学生の算数だが落ち着いて解かないと平気で間違える。数字の計算は頭の中で処理せずに解説のようにしっかり書いて考えよう。肢2,3,4は基本論点。しっかり正確に判断できるようにしよう。

選択肢ごとのコメント

肢1 300万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付して当該保証協会の社員となった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、6,000万円を限度として、当該保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する。
誤り。ややこしい計算問題。弁済業務保証金から弁済を受けることができる額の限度額は、「営業保証金に相当する額」というのが前提知識。

保証協会の場合、弁済業務保証金分担金の額は
① 本店・・・60万円
② 支店・・・30万円

宅建業者は分担金300万円支払っている。本店はどの業者にも必ず1つ存在するので、300万円のうち60万円は本店分。

残りの300万円-60万円=240万円が支店の分となる。一つの支店につき30万円の分担金がかかるので 240万円÷30万円=8支店

つまり、本店1つと支店8つが、この宅建業者の規模となる。

では、この宅建業者が営業保証金を供託すると仮定して、供託金の額を計算してみる。営業保証金の場合、供託する額は、
①本店・・・1,000万円
②支店・・・500万円

問題文の宅建業者の場合は
本店分、1,000万円×1つ
支店分、500万円×8支店=4,000万円
合計、1,000万円+4,000万円=5,000万円となる。

以上より5,000万円を限度として弁済業務保証金が、支払われることになる。よって肢は誤り。

 
肢2 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。
誤り。「主たる事務所の最寄りの供託所に」が間違い。還付充当金は「保証協会」に納付する。保証協会制度のお金の流れをしっかり把握していますか。
 
肢3 保証協会の社員は、保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で、その通知を受けた日から1か月以内にその通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは、当該保証協会の社員の地位を失う
正しい。「特別弁済業務保証金分担金」が意外と細かい論点かもしれない。問われている内容は条文のまま。このまま覚えよう。
 
肢4 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から2週間以内に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
誤り。2週間でなく「1週間」が正解。起点は「地位を失った日」というのもしっかり覚えておこう。
正解・・・①
基本事項の確認
〇保証協会が弁済業務保証金を供託する期限はいつからどれくらいか。
〇「特別弁済業務保証金分担金」はどういうときに発生するお金か。
〇業者が還付充当金を保証協会に納付しなければいけない期限はいつからどれくらいの期間か。
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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