【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その19

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

「営業保証金」の2回目の演習となります。「弁済業務保証金分担金」と比較されることが非常に多いので常に違いを気を付けて練習することが重要です。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第35問

2012年 Q:宅地建物取引業者A社の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. A社が地方債証券を営業保証金に充てる場合、その価額は額面金額の100分の90である。

  2. A社は、営業保証金を本店及び支店ごとにそれぞれ最寄りの供託所に供託しなければならない。

  3. A社が本店のほかに5つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は210万円である。

  4. A社は、自ら所有する宅地を売却するに当たっては、当該売却に係る売買契約が成立するまでの問に、その買主に対して、供託している営業保証金の額を説明しなければならない。

問題の外観
全選択肢、瞬時に正誤を判断できなければいけない問題。本番でこの手の単なる知識問題が出たらばラッキーな者。逆をいえばこういう問題で失点するようでは合格は程遠い。肢4がちょっとだけ難しいかもしれないが、営業保証金の制度の目的を理解していればこたえられる。
 

選択肢ごとのコメント

肢1 A社が地方債証券を営業保証金に充てる場合、その価額は額面金額の100分の90である。
正しい。この知識を知らないということは圧倒的に勉強不足。
 
肢2 A社は、営業保証金を本店及び支店ごとにそれぞれ最寄りの供託所に供託しなければならない。
誤り。主たる事務所の最寄りの供託所に供託する。
 
肢3 A社が本店のほかに5つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は210万円である。
誤り。営業保証金は最低でも本店の分1000万円かかるから、圧倒的に間違っている。営業保証金でなく弁済業務保証金分担金だったら210万円が正解。これで間違えるようでは勉強不足としか言いようがない。
 
肢4 A社は、自ら所有する宅地を売却するに当たっては、当該売却に係る売買契約が成立するまでの問に、その買主に対して、供託している営業保証金のを説明しなければならない。
誤り。営業保証金の目的は「業者に何かあったときの債権者であるお客さんの保護」。お客さんが最低限知っておかなければいけないのは、営業保証金の額でなく万一のことがあったときに駆け込む供託所がどこか。「どこに供託しているか」がわからないと債権者の救済にはならないでしょ。
正解・・・①
基本事項の確認
〇そもそも営業保証金制度とはどんな目的の制度か確認せよ。
〇主たる事務所、その他の事務所はそれぞれいくら供託するか。
〇営業保証金を供託するのは免許を受ける前?後?
 
 

宅建業法の演習 第36問

2013年 Q:宅地建物取引業者の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この間において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、不正の手段により法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。 

  2. 信託業法第3条の免許を受けた信託会社で宅地建物取引業を営むものは、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされるため、営業保証金を供託した旨の届出を国土交通大臣に行わない場合は、国土交通大臣から免許を取り消されることがある。

  3. 宅地建物取引業者は、本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管換えを請求しなければならない。    

  4. 宅地建物取引業者は、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった旨の通知を受けたときは、供託額に不足を生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。

問題の外観
過去問などで練習していれば肢1を瞬殺でさばけてハイ終了!の問題である。肢3,4は正確に判断できないといけない。肢2は試験本番で受験者をいかに惑わせようかと作問者の悪意を感じる肢。本番でも当然このような選択肢が出題されるが、対策としては普段からこのような問題が出ると意識すること日本語を丁寧に読む訓練をすることに限る

選択肢ごとのコメント

肢1 宅地建物取引業者は、不正の手段により法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。 
正しい。不正の手段等で宅建免許を取消された場合でも、営業保証金を取り戻すことができる。営業保証金の目的は業者と取引をした債権者の保護である、その目的で供託した金を免許取消で没収されるのは法律の目的にも合致していない。「不正の手段だから取り戻せない!」…と思ってしまいそうだが、勉強不足だと足元をすくわれてしまう。
 
肢2 信託業法第3条の免許を受けた信託会社で宅地建物取引業を営むものは、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされるため、営業保証金を供託した旨の届出を国土交通大臣に行わない場合は、国土交通大臣から免許を取り消されることがある。
誤り。ヒッカケ問題。国語力が問われる問題でもある。「信託業法第3条の免許を受けた信託会社は、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされる」はその通りだが、免許を受けずに宅建業者になれる。そして信託会社は、宅地建物取引業を営もうとするとき、営業保証金等を供託した後、その旨を国土交通大臣に届け出ることで、宅建業を開始することができる。要するに信託会社は「無免許営業」ができる。無免許である以上、免許の取り消しようがない。よって誤り。
 
肢3 宅地建物取引業者は、本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管換えを請求しなければならない 
誤り。国債証券をもって営業保証金を供託して場合は保管換えの請求はできない。有価証券を含む供託は新たに供託をし直さないといけない。
 
肢4 宅地建物取引業者は、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった旨の通知を受けたときは、供託額に不足を生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。
誤り。追加供託の期限は「供託額に不足を生じた日から」ではなくて「営業保証金の不足額供託の通知書の送付を受けた日から」が正しい。
正解・・・①
基本事項の確認
〇営業保証金の「保管換え」とはどういう制度か説明せよ。
〇業者が免許を受けたにもかかわらずに営業保証金を供託しない場合、免許権者ができることは何か。
〇有価証券で供託する場合の評価額は、国債証券、地方債、それ以外の有価証券でそれぞれ何%か
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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