【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その18

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

この回から「営業保証金」の演習となります。「弁済業務保証金分担金」と比較されることが非常に多いので常に違いを気を付けて練習することが重要です。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第33問

2007年 Q:宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、Aは、甲県内に本店と一つの支店を設置して事業を営んでいるものとする。

  1. Aが販売する新築分譲マンションの広告を受託した広告代理店は、その広告代金債権に関し、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。

  2. Aは、免許の有効期間の満了に伴い、営業保証金の取戻しをするための公告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

  3. Aは、マンション3棟を分譲するための現地出張所を甲県内に設置した場合、営業保証金を追加して供託しなければ、当該出張所でマンションの売買契約を締結することはできない。

  4. Aの支店でAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、1,500万円を限度として、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。

問題の外観
肢2の「遅滞なく届け出」というところはテキストであったりなかったりの内容なので自信をもって判断できないかもしれないが、肢1、3,4が超基本事項なので自信をもって3が正解だと判断してほしい。とにかく、営業保証金に関してはまずは「手続きの流れ」を正確に抑えることが一番重要である。この流れをつかめないことには細かい知識はすんなり覚えられるはずもない。
 

選択肢ごとのコメント

肢1 Aが販売する新築分譲マンションの広告を受託した広告代理店は、その広告代金債権に関し、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。
正しい。還付を受けるには業者に対し「宅建業に関する取引により生じた債権」を持っていることが必要。広告代金債権はこれに当たらない。よって弁済は受けられない。
 
肢2 Aは、免許の有効期間の満了に伴い、営業保証金の取戻しをするための公告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
正しい。記述のとおり。「遅滞なく届け出」というのは細かい規則だがこの問題を機に覚えてしまおう。
 
肢3 Aは、マンション3棟を分譲するための現地出張所を甲県内に設置した場合、営業保証金を追加して供託しなければ、当該出張所でマンションの売買契約を締結することはできない。
誤り出張所・案内所は業法上の事務所には当たらない。よって営業保証金を供託する必要はない。
 
肢4 Aの支店でAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、1,500万円を限度として、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。
正しい。肢1と同じ。問題文冒頭に「Aは、甲県内に本店と一つの支店を設置して事業を営んでいる」とあるので、1000万円(本店分)+500万円(支店1つ)=1500万円の営業保証金を供託しなければいけないこともしっかり抑えておこう
正解・・・③
基本事項の確認
〇そもそも営業保証金制度とはどんな目的の制度か確認せよ。
〇主たる事務所、その他の事務所はそれぞれいくら供託するか。
〇営業保証金を供託するのは免許を受ける前?後?
 
 

宅建業法の演習 第34問

2011年 Q:宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. A社は、甲県の区域内に新たに支店を設置し宅地建物取引業を営もうとする場合、甲県知事にその旨の届出を行うことにより事業を開始することができるが、当該支店を設置してから3月以内に、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出なければならない。

  2. 甲県知事は、A社が宅地建物取引業の免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならず、その催告が到達した日から1月以内にA社が届出をしないときは、A社の免許を取り消すことができる。

  3. A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者(以下この問において「還付請求権者」という。)に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。 

  4. A社は、宅地建物取引業の廃業によりその免許が効力を失い、その後に自らを売主とする取引が結了した場合、廃業の日から10年経過していれば、還付請求権者に対して公告することなく営業保証金を取り戻すことができる。

問題の外観
肢1,2,4は手続きのタイミングを正確に覚えているかどうか。肢3は営業保証金の公告の目的を理解していればなんてことはない。細かい数字の暗記は試験直前期にガツガツやるのもお勧めだが、早いうちに覚えても困ることはない。時間があるうちは、過去問演習を反復して行い、頭に染み込むような感じで覚えてしまえばなお良し。

選択肢ごとのコメント

肢1 A社は、甲県の区域内に新たに支店を設置し宅地建物取引業を営もうとする場合、甲県知事にその旨の届出を行うことにより事業を開始することができるが、当該支店を設置してから3月以内に、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出なければならない。
誤り。供託してその旨の届出をしない限り事業を始めてはいけないので、この届出につき期限の制限はない。
 
肢2 甲県知事は、A社が宅地建物取引業の免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならず、その催告が到達した日から1月以内にA社が届出をしないときは、A社の免許を取り消すことができる。
正しい。この記述のとおり。ヒッカケにかからないように手続きのタイミングを正確に暗記しておく必要がある。
 
肢3 A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者(以下この問において「還付請求権者」という。)に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。 
誤り。公告なしのときは「二重供託・保証協会加入、消滅時効」のとき。それ以外の理由は公告いる。
 
肢4 A社は、宅地建物取引業の廃業によりその免許が効力を失い、その後に自らを売主とする取引が結了した場合、廃業の日から10年経過していれば、還付請求権者に対して公告することなく営業保証金を取り戻すことができる。
誤り。肢3の消滅時効の例。取引の原因が生じてから10年経てば債権は消滅時効にかかるので、債権者を保護する必要はなく、業者は「債権をお持ちの方は申し出てください」と公告する必要もない。よって、「廃業の日」からではなく、「取引が結了した日」がただしい。
正解・・・②
基本事項の確認
〇営業保証金の取戻しにおける「公告」とはどういう目的の制度か説明せよ
〇営業保証金の「還付」とはどういう目的の制度か説明せよ
〇公告不要で取戻しができる場合はどういうときか。
 
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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