【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その8

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回も「免許の申請」について解説していきます。免許の申請については毎年必ず出題される論点ですので、繰り返し反復練習すべきところです。

では、早速問題やっていきましょう。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第13問

2012年 Q:宅地建物取引業の規定によれば正しいものはどれか。

  1. 免許を受けようとするA社に、刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年(刑の全部の執行猶予2年)の刑に処せられ、その執行猶予期間を満了したものが役員として在籍している場合、その満了の日から5年を経過していなくとも、A社は免許を受けることができる。

  2. 免許を受けようとするB社に、刑法第206条(現場助勢)の罪により罰金の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなくとも、B社は免許を受けることができる。

  3. 免許を受けようとするC社に、刑法第208条(暴行)の罪により拘留の刑に処せられた者が役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなければ、C社は免許を受けることができない。

  4. 免許を受けようとするD者に、刑法第209条(過失傷害)の罪により科料の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなければD者は免許を受けることができない。

本問の論点:犯罪を犯した場合の免許の欠格事由は何か
問題の外観
刑法第〇条とあって身構えたしまうが、何罪かを知らなくとも正解にはたどり着ける。まず覚えておくべきは「犯罪者は刑の執行後5年間は免許取れない」、どんな罪を犯した場合か⇒⇒「禁錮・懲役は罪を問わず全部該当する」「宅建業法や暴力系の罰金刑は該当する」暴力系の犯罪(暴行、傷害、脅迫、背任、現場助勢など)は数が多いのでなかなか覚えるのに骨が折れるが、「罰金刑以上」でないと5年ルールはない。また、全ての肢に言えるが、「法人の役員に欠格事由に該当する者がいればその法人は免許を受けることができない」ことも忘れずに覚えましょう。

選択肢ごとのコメント

肢1 免許を受けようとするA社に、刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年(執行猶予2年)の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を満了した者が役員として在籍している場合、その満了の日から5年を経過していなくとも、A社は免許を受けることができる。
正しい。執行猶予中は免許をもらえないが、執行猶予期間が満了すれば直ちに免許を受けられる。この知識はこのまま覚えよう。
 
肢2 免許を受けようとするB社に、刑法第206条(現場助勢)の罪により罰金の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなくとも、B社は免許を受けることができる。
誤り。現場助勢罪での罰金刑は欠格事由に該当する。よって刑の執行が終わってから5年経たないと免許を受けられない。
 
肢3 免許を受けようとするC社に、刑法第208条(暴行)の罪により拘留の刑に処せられた者が役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなければ、C社は免許を受けることができない。
誤り。拘留は欠格事由にならない。よって5年経たずとも免許を受けられる。
 
肢4 免許を受けようとするD社に、刑法第209条(過失傷害)の罪により科料の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなければ、D社は免許を受けることができない。
誤り。科料は欠格事由にならない。よって5年経たずとも免許を受けられる。科料は「罰金刑より軽い」くらいで覚えておこう。深入りしなくていい。
正解・・・①
基本事項の確認
〇どういう犯罪で罰金に処せられたものは免許が受けられないか。例を調べて確認せよ。
〇背任罪・現場助勢罪とはどういう犯罪か。
〇刑が確定するまでは無罪と推定されるので、有罪判決を受けても(1)や(2)中は免許がもらえる。
 

宅建業法の演習 第14問

2015年 Q:宅地建物取引業の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. A社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取り消し処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、合併により消滅したが、合併に相当の理由がなかった。この場合において、当該公示の50日前にA社の取締役を退任したBは、当該消滅の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。

  2. C社の政令で定める使用人Dは、刑法第234条(威力業務妨害)の罪により、懲役1年、刑の全部の執行猶予2年の刑に処せられた後、C社を退任し、新たにE社の政令で定める使用人に就任した。この場合においてE社が免許を申請しても、Dの執行猶予期間が満了していなければ、E社は免許を受けることができない。

  3. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Fは免許を受けることができない。

  4. H社の取締役Iが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明し、宅地建物取引業法第66条第1項第3号の規定に該当することにより、H社の免許は取り消された。その後、Iは退社したが、当該取り消しの日から5年を経過しなければ、H社は免許を受けることができない。

本問の論点:宅建業法の「欠格事由」とはなにか。
問題の外観
文章量が多く、正確に日本語を読み取らないと簡単に間違えてしまう問題。肢1は少し難解な仕組みかもしれないが、肢2、3は比較的基本的な内容。肢4は「暴力団員」という言葉につられて5年ルールが適用できる!と即断してしまうが、正確に、落ち着いて読むとこれが誤っている肢と判断できる。試験本番でも、長い文章の肢では細かいところの語句・言い回しのみ誤っている場合もあるので、常に細かいところに気を受けて練習する癖をつけよ!

選択肢ごとのコメント

肢1 A社は、不正の手段により免許を取得したことによる免許の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分がなされるまでの間に、合併により消滅したが、合併に相当の理由がなかった。この場合においては、当該公示の日の50日前にA社の取締役を退任したBは、当該消滅の日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。
正しい。ややこしすぎるので一番後回しにやるべき肢。詳細はこちらをどうぞ。(欠格事由・取消事由について)
 
肢2 C社の政令で定める使用人Dは、刑法第234条(威力業務妨害)の罪により、懲役1年、執行猶予2年の刑に処せられた後、C社を退任し、新たにE社の政令で定める使用人に就任した。この場合においてE社が免許を申請しても、Dの執行猶予期間が満了していなければ、E社は免許を受けることができない。
正しい。法人の役員、政令で定める使用人に免許欠格事由者がいる場合はその法人も免許を受けられない。一方、懲役といえ、執行猶予が満了すれば免許は受けられる。
 
肢3 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるFの法定代理人であるGが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Fは免許を受けることができない。
正しい。背任罪の罰金刑は欠格事由に該当する。成年者と同一の行為能力を有しない未成年者なので、法定代理人が欠格事由に該当したら免許受けられない。
 
肢4 H社の取締役Iが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明し、宅地建物取引業法第66条第1項第3号の規定に該当することにより、H社の免許は取り消された。その後、Iは退任したが、当該取消しの日から5年を経過しなければ、H社は免許を受けることができない。
誤り。役員が暴力団員であること」を理由の免許取り消しは5年ルールなし。その役員が退任している以上、5年待たずに免許取れる。免許取り消しから5年間免許取れないものは把握してますか?
正解・・・④
 
基本事項の確認
〇免許取り消し処分を受けた業者が取消から5年間は免許取れないような場合はどんな理由で取消処分になったときか。
〇役員に含まれるのは取締役と相談役だが、役員に含まれない代表例は何か。
〇(1)料、拘留、(2)料は欠格事由に該当しない。
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 
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こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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