宅建に合格した後、行政書士試験に挑む方へ【難易度比較】

宅建から行政書士 行政書士試験

宅建から行政書士

この記事は宅建試験に合格して、次は行政書士試験にチャレンジしようかな?と考えている方で、次のような疑問をお持ちの方に向けて書かれたものです。

・行政書士試験は宅建に比べてどれくらい難しいの?
・行政書士試験は過去問だけで合格できる?

著者自身も宅建に合格した後に行政書士試験にチャレンジした経験があります(両方とも合格してます)。その経験をもとに、チャレンジする場合にはどういったところに気を付けるべきかを詳しく解説していきます。

試験形式の確認

そもそも出題科目が違うので、比較すること自体難しいですが、無理やり比較していきます(笑)。まずは試験の形式をおさらいしておきます。

 宅建の出題形式

試験形式は全て4択のマーク式で全50問です。

試験科目 配点
権利関係 14点
宅建業法 20点
法令上の制限 8点
税・その他 8点
満点 50点
合格基準
50点のうち7割前後。

 行政書士の出題形式

試験形式はマーク式57問(5択問題54問、多肢選択3問)と記述式3問の全60問の構成。

試験科目 配点(マーク式)  配点(記述式)
基礎法学 8点  
憲法 28点  
民法 36点 40点
行政法 92点 20点
商法 20点  
一般知識 56点  
満点 300点
合格基準
① 一般知識を除いた法令科目の得点率が50%以上
② 一般知識の得点率が40%以上
③ 合計得点が60%以上。
つまり、合計得点が60%を超えても①、②を満たさないと合格できない
 

難易度を比較

試験の出題内容を確認したところで、続いては具体的な比較を行っていきます。まずは試験形式を比較し、続いて科目について見ていきます。

 試験形式の比較

先の試験形式を比較しただけでも行政書士試験に関しては次のようなことが言えます。

1.4択でなく5択問題なので必然的に難易度アップ
2.記述式があるので、マグレでは絶対に正解できない
3.ある得点に満たないと「足切り」される
具体的に見ていきましょう。

1.選択肢が増える

宅建試験は4択問題(ないし3択)ですが、行政書士試験は5択問題です。ということは正誤を判断するために準備するべき知識量がグッと増えます。勘で当たる確率も当然減ってきます。

2.記述式がある

マーク式はマグレで正解できることが可能ですが、記述式に関してはまぐれ正解はほぼあり得ません。より正確な知識・読解力・記述力が要求されるってことです。

3.「足切り」がある

行政書士試験は、全体の60%をとれば合格ですが、法令科目と一般知識の基準を満たしていないと強制的に不合格となる「足切り」があります。ということは偏った知識だけでは絶対に合格できず、満遍なく知識を身に着ける必要があります

 

 科目の比較

次に試験の中身について具体的に見ていきます。

共通科目「民法について」

唯一、宅建試験と行政書士試験で共通している科目が「民法」です。しかし民法とはいってもその範囲は広大です。今一度、この二つの資格で各々どういった業務ができるか確認しましょう。

宅建士・・・・不動産取引に関する重要事項を説明すること
行政書士・・・官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること
宅建士は極論、民法の「不動産取引」に関することだけ知っておけばいいってことです。宅建試験に毎年「借地借家法」、「不動産登記法」、「区分所有法」が出題されるのは「せめて不動産取引のプロを名乗るのであればこれくらいはしっておけよ」という出題者側のメッセージです。
一方、行政書士。役所への書類作成・提出はもちろんのこと、権利義務・事実証明に関する書類(内容証明書・遺産分割協議書・各種契約書など)の作成も仕事で任されます。民法のほぼ全域を広く理解していないといけません
宅建試験の場合、民法の問題は不動産取引に特化しているので、試験では重要論点を繰り返し出題せざるを得なく、過去問をしっかりやればある程度得点できます

一方、行政書士試験の場合は、出題範囲が民法のほぼ全域で広範過ぎる故、過去問では本試験への再現性を得られません
当然、行政書士の方が圧倒的に勉強量が増えますので、宅建試験と行政書士の民法は別物だとまず意識するのがイイでしょう
 

その他の科目の比較

宅建試験の対策がしやすい理由の一つが「宅建業法」の配点のデカさです。毎年50問中20問出題されます。宅建業法は86条の条文数でそこから毎年20題出題されるということなので、必然的に同じ論点を問わざるを得なく、過去問をしっかり研究すれば満点も可能です。

法令上の制限も出題される法律、条文はある程度限られているのでこちらも過去問+αの対応で十分合格圏内の得点が可能です。

一方、行政書士。イメージをつかむためにも、出題される条文数の多さを確認しておきましょうか。

・憲法        103条
・行政法の一般法理論 いっぱい(笑)
・行政手続法     46条
・行政不服審査法   87条
・行政事件訴訟法   46条
・国家賠償・損失補償 6条
・地方自治法     299条
・商法・会社法    1000条以上
・一般知識      たくさん(笑)
これだけでもかなりのボリュームですが、憲法と行政法関係(特に行政事件訴訟法)は判例の知識を問うことが多いので、実質的なボリュームはもっと多いです。
 
宅建試験は過去問から本試験の再現性が非常に高いので、過去問をみっちりやれば合格圏内に到達できますが、行政書士試験の場合は、各科目の条文数・判例知識からの毎年の出題数が少ないため過去問からの再現性が得にくいです
よって、宅建と比較し、行政書士試験の対策に関しては以下のようなことが言えます。
出題範囲が膨大なので過去問のみの対策では本番の再現性を得られない
もちろん、重要論点は反復して出題されますが、宅建試験の35条書面のように毎年出題されるわけではないということです。
 
宅建で合格した過去問勉強法が、行政書士試験ではおそらく通用しないということだけは強く意識しておいてください。

まとめ

以上のことから、宅建試験よりも行政書士試験の方が学ぶ範囲が圧倒的に広く、より専門的な法律知識が問われることになります。

体感的にも、宅建の3~4倍の情報量を叩き込む感じです。勉強時間も宅建の3~4倍はかけないと常人にはとてもカバーしきれません。

行政書士試験にチャレンジするにあたり、まずはしっかりとした勉強時間の確保教材の選定が重要となってきます。

過去記事において、おススメの教材(独学者向け)を紹介していますので、是非参考にしてみてください。

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