【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その44

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回も「手付金等の保全措置」の演習となります。プロが素人に売るときの様々な規制を学びます。これも素人である買主保護のための規制ですから、この目的を念頭に考えていきましょう。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第79問

2015年 問40

Q:宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか

  1. Aは、Bとの間で建築工事完了後の建物に係る売買契約(代金3,000万円)において、「Aが契約の履行に着手するまでは、Bは、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、この特約は有効である。

  2. Aは、Bとの間で建築工事完了前の建物に係る売買契約(代金3,000万円)を締結するに当たり、保険事業者との間において、手付金等について保証保険契約を締結して、手付金300万円を受領し、後日保険証券をBに交付した。

  3. Aは、Bとの間で建築工事完了前のマンションに係る売買契約(代金3,000万円)を締結し、その際に手付金150万円を、建築工事完了後、引渡し及び所有権の登記までの間に、中間金150万円を受領したが、合計額が代金の10分の1以下であるので保全措置を講じなかった。

  4. 空欄

問題の外観
めちゃくちゃ正解率の低かった問題。本番でこんなのが出てもなかなか判断難しいですよね。過去問をみっちり勉強して、本番で「なにこれ、見たことない!」ってなったらたいていみんなで来ていないので、あきらめて見直しの時間にあてたほうが得策かもしれません。落としちゃならん問題できっちり正解するほうが重要です。本番では、こういう問題に時間をかけすぎないこと。時間を使いすぎて焦ってしまっては、ほかの基本的な問題で冷静な判断ができません。難しい!っと直感的に思った問題はとっとと飛ばして次の問題に行きましょう。

選択肢ごとのコメント

肢1 Aは、Bとの間で建築工事完了後の建物に係る売買契約(代金3,000万円)において、「Aが契約の履行に着手するまでは、Bは、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、この特約は有効である。
誤り。相手方が契約の履行に着手する前に、買主は手付を放棄して、売主は倍額返しすれば契約解除できる。本問では「Bは売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とある。業法では手付を放棄すれば解除できるのであり、本問の特約はその条件よりも明らかに買主が不利となっている。よってこの特約は無効。
 
肢2 Aは、Bとの間で建築工事完了前の建物に係る売買契約(代金3,000万円)を締結するに当たり、保険事業者との間において、手付金等について保証保険契約を締結して、手付金300万円を受領し、後日保険証券をBに交付した。
誤り。「手付金等についての保証保険契約」とは、まさに保険事業者にやってもらう手付金等保全措置のこと。手付金をもらう前に保険契約をしているので、一見、間違ってないように思うが、「手付金の受領前に保険証書又はこれに代わるべき書面を、買主に交付しなければならない(業法41条1項2号)」とある。買主が保険証書をうけとってから万全の態勢でないと売り主は手付金をもらっちゃだめよ・・と買主を保護する要請が強いようですね。
 
肢3 Aは、Bとの間で建築工事完了前のマンションに係る売買契約(代金3,000万円)を締結し、その際に手付金150万円を、建築工事完了後、引渡し及び所有権の登記までの間に、中間金150万円を受領したが、合計額が代金の10分の1以下であるので保全措置を講じなかった。
誤り。かなり細かい知識。「完成、未完成かの判断は契約締結時の状態で判別する(解釈・運用の考え方)」ということをこの問題で覚えておこう。本問では契約時に「建築工事完了前」とあるので未完成物件として判断する。よって売買代金3000万円の5%を超える手付金等を受領する場合は保全措置が必要。手付金150万円と中間金150万円の計300万円を受け取る予定なので、3000万円の5%を超えるから保全措置が必要
 
肢4 空欄
空欄
正解・・・なし
基本事項の確認
〇手付金「等」とはいつからいつまでの期間に支払われるものをいうか。
〇「申し込み証拠金」も手付金等に含まれるか。
〇1億5000万円の完成物件について保全措置をとる場合、いくら分の保全措置を行わなければならないか。
 
重要事項の暗記に困っている場合は下記の記事を参考にしてみてください。
 

宅建業法の演習 第80問

2018年 問38

Q:宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約(所有権の登記は当該住宅の引渡し時に行うものとする。)を締結した。この場合における宅地建物取引業法第41条又は第41条の2の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 当該住宅が建築工事の完了後で、売買代金が3,000万円であった場合、売主は、買主から手付金200万円を受領した後、当該住宅を引き渡す前に中間金300万円を受領するためには、手付金200万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。

  2. 当該住宅が建築工事の完了前で、売買代金が2,500万円であった場合、売主は、当該住宅を引き渡す前に買主から保全措置を講じないで手付金150万円を受領することができる。

  3. 当該住宅が建築工事の完了前で、売主が買主から保全措置が必要となる額の手付金を受領する場合、売主は、事前に、国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付した後でなければ、買主からその手付金を受領することができない。

  4. 当該住宅が建築工事の完了前で、売主が買主から保全措置が必要となる額の手付金等を受領する場合において売主が銀行との間で締結する保証委託契約に基づく保証契約は、建築工事の完了までの間を保証期間とするものでなければならない。

問題の外観
肢1,2が超基本事項なのでしっかり判断したい。1、2ができれば肢3、4がわからなくとも正解できた。手付金の問題は、まずは物件が「完成」か「未完成」かを必ずチェックすること。これを読み間違えると全て間違えてしまうからだ。
 

選択肢ごとのコメント

肢1 当該住宅が建築工事の完了後で、売買代金が3,000万円であった場合、売主は、買主から手付金200万円を受領した後、当該住宅を引き渡す前に中間金300万円を受領するためには、手付金200万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。
正しい。手付金保全措置の意義は「手付金を払った後に業者がドロンしてしまったときに、買主に代わりに手付金を返してやる制度」なので、選択肢の通り保全措置をとったあとでなければ、中間金は受け取れません。完成物件なので売買代金の10%を超える場合は保全措置をしないとダメ。手付金200万円+中間金300万円=500万円をうけとるので、売買代金3000万円×10%=300万円を超えるから保全措置が必要。何度も問われている論点なので、ミスは許されない。
 
肢2 当該住宅が建築工事の完了前で、売買代金が2,500万円であった場合、売主は、当該住宅を引き渡す前に買主から保全措置を講じないで手付金150万円を受領することができる。
誤り。工事完了前なので未完成物件。売買代金2500万円×5%=125万円を超える場合は手付金保全措置が必要。手付金150万円を受け取るので保全措置が必要。
 
肢3 当該住宅が建築工事の完了前で、売主が買主から保全措置が必要となる額の手付金を受領する場合、売主は、事前に、国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付した後でなければ、買主からその手付金を受領することができない。
誤り。ちゃんと知っていれば瞬時に判断できる肢。未完成物件の場合、指定保管期間は手付金保全措置をしてくれない。
 
肢4 当該住宅が建築工事の完了前で、売主が買主から保全措置が必要となる額の手付金等を受領する場合において売主が銀行との間で締結する保証委託契約に基づく保証契約は、建築工事の完了までの間を保証期間とするものでなければならない。
誤り。「手付金等」とは「契約締結時から引渡までに、名称を問わず買主が売主に渡すお金で代金に充当するもの」なので、工事完了までとする本肢はあやまり。もし、本肢の保険契約をOKとしてしまったら、工事完了した後に業者がバックレてしまったら、銀行は買主に手付を補償しなくてもOKになってしまい買主保護の制度趣旨に反しますよね。
正解・・・①
基本事項の確認
〇未完成物件の場合、手付金保全措置を受け付けてくれないのはどこか。
〇手付金額が営業保証金の範囲内でも手付金保全措置は必要か。
〇手付金保全措置が取られると、手付放棄による解除はできなくなってしまうか。
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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