【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その42

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回から「自ら売主」の演習となります。プロが素人に売るときの様々な規制を学びます。これも素人である消費者保護のための規制ですから、この目的を念頭に考えていきましょう。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第75問

2002年 問45

Q:宅地建物取引業者である売主Aが、宅地建物取引業者Bの媒介により宅地建物取引業者ではない買主Cと新築マンションの売買契約を締結した場合において、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

  1. AとCの間で、クーリング・オフによる契約の解除に関し、Cは契約の解除の書面をクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに到達させなければ契約を解除することができない旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。

  2. Cは、Bの事務所で買受けの申込みを行い、その3日後に、Cの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

  3. Cは、Bからの提案によりCの自宅で買受けの申込みを行ったが、クーリング・オフについては告げられず、その10日後に、Aの事務所で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

  4. クーリング・オフについて告げる書面には、Bの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。

問題の外観
この問題、特に肢1から学び取ってほしいのは、「宅建業法の精神は『素人をプロである業者から保護する』こと」ということです。この精神があるので、法律に定めてある以上に業者が有利になったり、素人が不利になったらイカンですよってことです。

選択肢ごとのコメント

肢1 AとCの間で、クーリング・オフによる契約の解除に関し、Cは契約の解除の書面をクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに到達させなければ契約を解除することができない旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。
正しい。業法の規定では「クーリング・オフができる期間は、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について書面で告げられた日から起算して8日間」となっており、買主は告げられた日から起算して8日以内に「クーリングオフします!」という書面を発信(ポストに投函)すればいい「発信主義」を採用している。「8日以内に買主Aに到達」はこの規定より売り主に不利な内容になり、業法の「素人の買主の保護」の精神に反する。よってこの特約は無効となる。そもそもこの選択肢の日本語を正確に読み取れるかどうかがキモ。
 
肢2 Cは、Bの事務所で買受けの申込みを行い、その3日後に、Cの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。
正しい。Bは媒介をお願いしている業者なので、そこで申込してるんだからクーリングオフはできないよ!
 
肢3 Cは、Bからの提案によりCの自宅で買受けの申込みを行ったが、クーリング・オフについては告げられず、その10日後に、Aの事務所で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない
正しい。Cは自分でなく、Bの提案でC自宅で申し込みを行ったのでクーリングオフできる場所となる。クーリング・オフができる期間は、クーリング・オフができる旨の告知を書面で告げられた日から起算して8日間なので、書面で告げられてない以上10日後でもクーリングオフ可能。
 
肢4 クーリング・オフについて告げる書面には、Bの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。
誤り。買主Cが「クーリングオフしたい」って言う相手は売主Aのだから、クーリングオフについて告げる書面に書くべきは売主Aの情報。Bの情報が載っていたところでクーリングオフの仕様がない。
正解・・・
基本事項の確認
〇クーリングオフの効力が発生するのは、書面を発送したときか、相手に届いたときか。
〇媒介・代理をお願いした業者の事務所で行った申し込みはクーリングオフの対象か。
〇今一度、「申し込み」、「承諾」の意思表示の関係を民法のテキストで確認しましょう。
 
重要事項の暗記に困っている場合は下記の記事を参考にしてみてください。
 

宅建業法の演習 第76問

2019年 問38

Q:宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. Bがクーリング・オフにより売買契約を解除した場合、当該契約の解除に伴う違約金について定めがあるときは、Aは、Bに対して違約金の支払を請求することができる。

  2. Aは、Bの指定した喫茶店で買受けの申込みを受けたが、その際クーリング・オフについて何も告げず、その3日後に、クーリング・オフについて書面で告げたうえで売買契約を締結した。この契約において、クーリング・オフにより契約を解除できる期間について買受けの申込みをした日から起算して10日間とする旨の特約を定めた場合、当該特約は無効となる。

  3. Aが媒介を依頼した宅地建物取引業者Cの事務所でBが買受けの申込みをし、売買契約を締結した場合、Aからクーリング・オフについて何も告げられていなければ、当該契約を締結した日から起算して8日経過していてもクーリング・オフにより契約を解除することができる。

  4. 空欄

問題の外観
肢2だけ難しい。肢1、3は超基本事項。肢2は大変ややこしい「クーリングオフの起算日」が絡む問題。頭で混乱する場合は必ず数直線など図をかいて考えよう
 

選択肢ごとのコメント

肢1 Bがクーリング・オフにより売買契約を解除した場合、当該契約の解除に伴う違約金について定めがあるときは、Aは、Bに対して違約金の支払を請求することができる。
誤り。何度も問われている論点。クーリングオフは素人の買主を守る制度だから、買主Bがクーリングオフで解除したら、売り主は無条件に従わないといけない。つまり、違約金・損害賠償などは請求出来んってことです。
 
肢2 Aは、Bの指定した喫茶店で買受けの申込みを受けたが、その際クーリング・オフについて何も告げず、その3日後に、クーリング・オフについて書面で告げたうえで売買契約を締結した。この契約において、クーリング・オフにより契約を解除できる期間について買受けの申込みをした日から起算して10日間とする旨の特約を定めた場合、当該特約は無効となる。
正しい。クーリング・オフができるは、クーリング・オフについて書面で告げられた日から8日間。これは必ず押さえる。Bは申し込みの日から3日たってクーリングオフについて告げられているので、申込日から3日+8日=11日の猶予がある。特約では申込日から10日とするとあるが、本来、買主は11日猶予があるのに、特約で10日とするのは買主に不利となる。宅建業法の精神は「買主が不利になるのはダメ」だから、この特約は無効になる。
 
肢3 Aが媒介を依頼した宅地建物取引業者Cの事務所でBが買受けの申込みをし、売買契約を締結した場合、Aからクーリング・オフについて何も告げられていなければ、当該契約を締結した日から起算して8日経過していてもクーリング・オフにより契約を解除することができる。
誤り媒介をお願いした業者の事務所で申込したらクーリングオフできませんでしたな。代理をお願いした業者の事務所も一緒でしたね。
 
肢4 空欄
空欄
正解・・・③
基本事項の確認
〇次の場所はクーリングオフできるか。
1、媒介をお願いした宅建業者の事務所 2、モデルルーム 3、買主が自ら申し出た買主の自宅
〇クーリングオフができることを書面で告げることは義務か?
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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