【宅建業法】実践!過去問演習 解き方と勉強法を学ぶ その40

宅建過去問演習

本記事の第一回に「過去問演習の意義とやり方」について書いてますので、まだ読んでないって方はそちらの方を一読ください。

今回から「自ら売主」の演習となります。プロが素人に売るときの様々な規制を学びます。これも素人である消費者保護のための規制ですから、この目的を念頭に考えていきましょう。
 

では、早速問題やっていきます。必要に応じて紙とペンを用意して考えてみてください。悩んだときに簡単な絵を描くと色々思い出せることがあるかもしれません。

 

宅建業法の演習 第71問

2002年 問45

Q:宅地建物取引業者Aが自ら売主として締結した建物の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき売買契約の解除をする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者でない買主Bは、建物の物件の説明を自宅で受ける申し出を行い、自宅でこの説明を受け、即座に買受けを申し込んだ。後日、勤務先の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合、Bは売買契約の解除はできない。

  2. 宅地建物取引業者でない買主Cは、建物の物件の説明をAの事務所で受け、翌日、出張先から電話で買受けを申し込んだ。後日、勤務先の近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、Cは売買契約の解除はできない。

  3. 宅地建物取引業者である買主Dは、建物の物件の説明をAの事務所で受けた。後日、Aの事務所近くの喫茶店で買受けを申し込むとともに売買契約を締結した場合、Dは売買契約の解除はできる。

  4. 宅地建物取引業者でない買主Eから売買契約の解除があった場合で、この契約の解除が法的要件を満たし、かつ、Aが手付金を受領しているとき、Aは契約に要した費用を手付金から控除して返還することができる。

問題の外観
クーリングオフに限らず、「自ら売主」のところは「素人である買主の保護」が目的。なので、素人である買主が不利になることはダメってことです。ただ単に論点を覚えるのでは退屈なので、このような規制の目的を把握して問題を解くようにしたい。

選択肢ごとのコメント

肢1 宅地建物取引業者でない買主Bは、建物の物件の説明を自宅で受ける申し出を行い、自宅でこの説明を受け、即座に買受けを申し込んだ。後日、勤務先の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合、Bは売買契約の解除はできない。
誤り。素人の買主が「申し込みは自分の家でもええで!」って言ってるんだから、それで契約解除出来たら自分勝手すぎますでしょ。
 
肢2 宅地建物取引業者でない買主Cは、建物の物件の説明をAの事務所で受け、翌日、出張先から電話で買受けを申し込んだ。後日、勤務先の近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、Cは売買契約の解除はできない。
正しい。買受の申込を「電話」で受けているので、もろにクーリングオフの対象。「落ち着いて判断できる場所」で意思表示した場合にはクーリングオフできないと押さえておこう。
 
肢3 宅地建物取引業者である買主Dは、建物の物件の説明をAの事務所で受けた。後日、Aの事務所近くの喫茶店で買受けを申し込むとともに売買契約を締結した場合、Dは売買契約の解除はできる。
正しい。業者はプロなんだから、クーリングオフなんて救済措置は使えませんでな!知らなかったではプロは務まりませんでしょ。クーリングオフは、買主が素人の時だけですわ。
 
肢4 宅地建物取引業者でない買主Eから売買契約の解除があった場合で、この契約の解除が法的要件を満たし、かつ、Aが手付金を受領しているとき、Aは契約に要した費用を手付金から控除して返還することができる。
正しい。クーリングオフは「買主保護」が目的だから、買主がクーリングオフで解除したら、売り主は泣き寝入りしなさいってことです。だから手付金は全額返金しないとダメ。
正解・・・
基本事項の確認
〇次の場所はクーリングオフできるか。
1.事務所  2.モデルルーム  3.買主が申し出た自宅
〇「申し込み」と「契約」の違いを調べよ。
 
重要事項の暗記に困っている場合は下記の記事を参考にしてみてください。
 

宅建業法の演習 第72問

2003年 問39

Q:宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主との間で締結した宅地の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき売買契約の解除(以下この問において「クーリング・オフ」という。)をする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 買主Bは、20区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けを申し込み、契約を締結して、手付金を支払った。Bは、Aからクーリング・オフについて書面で告げられていなくても、その翌日に契約の解除をすることができる。

  2. 買主Cは、喫茶店で買受けの申込みをした際に、Aからクーリング・オフについて書面で告げられ、その4日後にAの事務所で契約を締結した場合、契約締結日から起算して8日が経過するまでは契約の解除をすることができる。

  3. 買主Dは、ホテルのロビーで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に手付金を支払った。その3日後、Dから、クーリング・オフの書面が送付されてきた場合、Aは、契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することができる。

  4. 買主Eは、自ら指定したレストランで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に代金の全部を支払った。その6日後、Eは、宅地の引渡しを受ける前にクーリング・オフの書面を送付したが、Aは、代金の全部が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。

問題の外観
クーリングオフは事例問題がほとんどなので、テキストを読んだだけの知識では対応できるわけもないので、たくさんの過去問を解いてパターンを把握すべきである。
 

選択肢ごとのコメント

肢1 買主Bは、20区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けを申し込み、契約を締結して、手付金を支払った。Bは、Aからクーリング・オフについて書面で告げられていなくても、その翌日に契約の解除をすることができる。
正しい。「素人の買主を保護する」のがクーリングオフの制度趣旨であるから、売り主の業者がクーリングオフについて書面で告げないということは、買主はいつでもクーリングオフできるよってこと。説明しない業者が悪いですもんね。テント張りの案内所はクーリングオフできる場所としてしっかり覚えておこう。
 
肢2 買主Cは、喫茶店で買受けの申込みをした際に、Aからクーリング・オフについて書面で告げられ、その4日後にAの事務所で契約を締結した場合、契約締結日から起算して8日が経過するまでは契約の解除をすることができる。
誤り。買主は、業者から書面で告げられた日から起算して8日経過したときはクーリングオフできない。問題文では、買受の申込をしたときに書面で告げられているので、その日から8日経過したらクーリングオフできない。
 
肢3 買主Dは、ホテルのロビーで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に手付金を支払った。その3日後、Dから、クーリング・オフの書面が送付されてきた場合、Aは、契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することができる。
誤り。クーリングオフの制度は「素人の買主の保護」が目的なので、クーリングオフが適用されたら売主は無条件に契約を解除しなければいけない。つまり、売り主は契約について一切文句が言えないので、損害賠償も違約金の請求もできないってことです。
 
肢4 買主Eは、自ら指定したレストランで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に代金の全部を支払った。その6日後、Eは、宅地の引渡しを受ける前にクーリング・オフの書面を送付したが、Aは、代金の全部が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。
誤り。素人の買主が「物件の引き渡し」をうけ、かつ、「代金の全部を支払った」ときはクーリングオフできなくなる。そこまで買主がやっておいて「やっぱりクーリングオフ」なんてされたらさすがに売り主にとっては酷な話。ちなみに、自ら指定してもレストランや喫茶店での申し込みはクーリングオフできる。
正解・・・①
基本事項の確認
〇買主が〇〇をし、かつ、○○をするとクーリングオフできなくなる。〇〇に入る行為は何か。
〇クーリングオフの効力は書面を○○したとき生ずる。いつ生ずるか。
〇申し込みが「事務所」で、契約が「喫茶店」のときクーリングオフできるか。
 

過去の拙ブログでもこのあたりの問題の解説記事を書いていますので、過去問を解いて知識が足りないと思ったら読んでみてください。

 

こんな感じで定期的に記事を書いていきますので、皆さんの勉強の一助にしてみてください。

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