【宅建の勉強法】宅建業法を図で解説 ~営業保証金~

宅建 営業保証金 宅建業法

宅建 営業保証金

この記事は宅建業法を勉強するにあたり、以下のような悩みをお持ちの方に向けて作成しました。

・営業保証金ってどういう制度?
・営業保証金の「保管換え」って何?
・保証金の取戻しって何?

ここの分野は、その手続きの流れを押さえることが重要です。この記事ではその手続きを図を使って解説していきますので、真似して描いてみて理解の助けにしてください。

営業保証金の制度内容

宅建業法の立法目的を覚えていますでしょうか?「消費者の保護」と「流通の円滑化」です。このうちの「消費者の保護」を達成させるために設けられた仕組みが「営業保証金」です。
営業保証金
不動産取引の相手方が損失を受けた場合に、その損失をちゃんと弁済できるよう、宅建業者が供託所にあらかじめ預ける金銭等のこと。
いざ、取引の相手方が損失を受けた時に、業者が「うわーん、ちゃんと弁済できないよー」となったら、取引の相手方がかわいそうですよね。
こういった事態を未然に防ぐために、業者はあらかじめ供託所におカネを預け、取引の相手方が損失を受けたって時に、その預けたお金から弁済を受けることができるって言う制度が「営業保証金」です。
この「営業保証金」を供託するのは、業者の「義務」です。供託しないと営業しちゃいけません。
不動産屋をやるとしたら、開業資金としてこの営業保証金を見積もっておかないと開業できません。結構な額になりますね。ある程度お金がないと不動産屋さんできないんです(笑)
 
あと、一応、供託所ってどういうところか確認しておきましょう。
供託・供託所
供託はカンタンにいうと「預ける」という意味。供託所は供託事務をおこなう法務局・地方法務局およびその支局、または法務大臣の指定する出張所のこと。
 
では、営業保証金を預けて(供託)から受け取る(還付)までの流れを図を使ってみていきましょう。
まずは、営業開始するまでの手続きです。
宅建 営業保証金 流れ
箇条書きでも流れをつかんでおきましょう。
1.業者が宅建免許をもらう
2.供託所に供託金を預ける
3.「供託金を預けたよ」の旨を免許権者に届け出る
4.営業開始できる
細かいところを論点を見ていきます。

 供託金をいくら、どこに預けるの

主たる事務所は1000万円、その他の事務所は一か所につき500万円主たる事務所の最寄の供託所に全額供託しないといけない。
 
例えば、らくたろう不動産が本店+支店3か所あるなら、1000万円+500万円×3か所=2500万円を預けます。

これ、現金だけでなく有価証券でも供託できます。ただし、図のように有価証券の種類によってその評価額が変わります。

例えば、らくたろう不動産の供託金が2500万円だとして、額面2000万円の地方債を持っていたとしたら、この地方債は2000万円×90%=1800万円と評価されるので、残り2500万円ー1800万円=700万円を現金で供託すれば良いことになります。

供託金がいくらかの計算は過去問レベルのものがすんなりできるようになればOK。過去問の該当箇所を繰り返し練習しましょう。

 免許権者への報告はいつまでにやる?

供託金を預けたら、免許権者(知事・大臣)に「供託金を預けたよー」と報告しないといけません。これが届出。
免許を与えてから3か月以内にこの届出をしない業者がいたら、免許権者は「早く届出しろ」と催告しなければいけません(義務)。さらに、催告から1か月以内に届け出がない場合は、免許を取り消すことができます(任意)
供託金を届けてから営業開始ですよ!流れをしっかり把握しましょう!
 

 いざ、営業保証金から弁済を受けるとき

次に、いざ損失が発生し、営業保証金から弁済を受けるときの流れです。図を描いて押さえていきましょう。
宅建 営業保証金 流れ
宅建業の取引から生じた債権とは
還付の対象となる債権は、宅建取引によって損害を被った債権です。覚えてますか?宅建業法の取引です。一応確認!宅地建物の「売買・交換・貸借」を「自ら行う、代理、媒介」すること(自ら賃借除く)
広告業者への広告料の支払い内装業者のリフォーム費用給料未払いなどは含まれません
 

 追加供託

さっきの図の⑤、⑥のところです。
供託金から還付が行われると、当然その業者の供託金が不足します。
供託所は「この業者の供託金が不足してます」と免許権者に教えてあげ、免許権者はその業者に「供託金が足りてないから補充してねー」と通知します。業者はこの通知から2週間以内に追加の供託金を払わないといけません
 
 
ここまでが、営業保証金の一連の流れです。免許から追加供託まで、何も見ないで説明できるようになればほぼ完璧です!

こういった「手続き」を理解したい場合は、やはり図を描くに限ります。文章のみで理解しようとしても暗記効率が悪く、また正確に覚えられません。面倒くさがらずに図を描くべきです

 

営業保証金の保管換え

言葉の確認からです。

保管換え
主たる事務所を移転した場合に、移転前の事務所最寄りの供託所に供託していた営業保証金を、移転先の事務所最寄りの供託所に移管することをいう。(金銭のみの供託の場合)
営業保証金 保管換え
流れを図でしっかり押さえておきましょう。
 
営業保証金が、現金のみでなく有価証券が含まれている場合はちょいとややこしい。
移動先の供託所にも一時的に営業保証金を預けないといけません。(すげえカネがかかるってことです。) 移転先の供託所に預けたのちに、移動前の供託所から取戻し請求できます。
 

営業保証金の取戻し

取戻し
宅建業者が、供託所から営業保証金を返してもらうこと

業者が、営業保証金を預けなくともよくなった場合に、「保証金返せー」って制度です。

営業保証金 取戻し

取戻しは、お客さん保護の観点から、業者がある日突然「供託所さん、保証金返してください」とはできない仕組みになっています。(だっていきなり、保証金返しちゃったら、お客さんなんかあった時に誰も保証してくれないでしょ?)

だから、業者は6か月を下回らない期間を定めて、「ウチに債権持ってる関係者は申し出てください」と公告しないといけません。そのあとではじめて取戻しできます。

次の場合は、公告なしに直ちに取戻しできます。これらの場合はお客さんが損する可能性がないからです。

1.二重供託が生じた場合(さっきやったところ)
2.業者が保証協会に入った時
3.取戻し原因が生じてから10年たった時

1はさっきやりましたね。2は次回やります。3は債権は10年で消滅するからです。

今回はここまでです。流れを理解することがキモですから、図を描いて考えましょう!!

 

次回は、お客さんを保護する別の仕組み「保証協会」についてやります。
【宅建の勉強法】宅建業法を図で解説 ~保証協会 カネの流れ~
前回の「宅建士(届出・登録の移転)」の解説はこちらです。
【宅建の勉強法】宅建業法を図で解説 ~宅建士②(届出・登録の移転)~

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